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2010年監査白書

内部監査協会から「2010年監査白書」が届いたので、ざっと眺めてみました。6,149社へアンケートを送付し、33%の2,054社からあった回答をまとめたものです。330ページという分量なのでじっくり読みこむことは難しく、そうする意味もないので、興味をひくところだけ斜め読み。

以下、個人的に気になった項目だけピックアップ。

・内部監査部門の組織上の所属形態
社長直属・・・79.6%
取締役会直属・・・4.0%
その他役員直属・・・6.9%
その他・・・6.8%
まあ、あるべき論としては当然の帰結かと思います。上場企業に限ると83.1%が社長直属です。

・内部監査部門の名称
監査部(室)・・・39.2%
内部監査部(室)・・・36.7%
業務監査部(室)・・・5.1%
経営監査部(室)・・・2.6%
内部統制部(室)・・・2.5%
経営企画部(室)・・・1.6%
以下略
「内部」が付かない方が多いんですね。ただ、時系列でみると、1994年は監査部70%で内部監査部13%だったので、内部を付ける方が増加していることがわかります。次回は逆転しそうですね。なお、上場企業に限ると、監査部36.5%、内部監査部42.3%です。

・内部監査担当部門の人員数
1名・・・21.3%
2名・・・21.9%
3名・・・14.3%
4名・・・10.3%
5名・・・5.6%
6名以上・・・26.7%
まあ、業種や規模によるので何ともいえませんが、1名の割合は時系列だと2000年35.1%、2003年26.9%、2007年24.0%、2010年21.3%と確実に減ってきています。内部監査への内外からの期待の高まりが結果として表れているということでしょう。上場企業に限ると1名は15.0%、2名19.9%、3名16.3%、4名以上38.5%です。

・内部監査の実施
業務監査が主、会計監査が従・・・38.5%
業務監査と会計監査が同ウェイト・・・35.8%
会計監査が主、業務監査が従・・・16.0%
業務監査のみ・・・8.3%
会計監査のみ・・・1.3%
思ったより会計監査のウェイトが多くて意外でした。そう考えると、財務や会計の知識・経験が重要視されるということですね。

・情報システム監査の有無
実施している・・・67.8%
実施していない・・・32.2%
システムへの投資が大きくなりリスクも増大していることから、情報システム監査の重要性が増していることがわかりますね。内部監査部門で実施(38.0%)しているケースも多いのですが、情報システム部門と共同で実施(14.0%)や外部委託(10.7%)といった方法もあります。ちなみに、上場企業に限ると、73.8%で実施されています。

以上、内部監査人としては、なかなか考えさせられる白書でありました。

日本内部監査協会・第17回監査総合実態調査 「2010年監査白書」

組織力

日本内部監査協会が発行している月刊誌「月刊監査研究」の2010年12月号に、とても面白い記事が掲載されていたので、抜粋しながらご紹介したいと思います。

第44回内部監査推進全国大会講演要旨
組織力 - 宿す、紡ぐ、磨く、繋ぐ/東京大学大学院経済学研究科教授 高橋伸夫

【経営の本質】
●おじさんたちは、何も仕事をしていないようなときでも、ただボーッとしているわけではない。若い人のことを見ている。ありとあらゆることを見ている。自分に大きな仕事が降ってきたとき、どんなメンバーでチームを組めば、その仕事をこなせるのか。その顔ぶれのアイデアさえ湧けば、私はどんな大きな仕事でも引き受けられる。だから、いつも若い人を見ている。

●「経営」の本質とは、一人一人ではできないような大きな仕事を皆でこなし、一人一人では突破できないような難関を皆で何とか切り抜けることであり、それが「組織力」と呼ばれる

●仕事もできな新入社員の頃から、たとえば、お花見の責任者だとか合コンの幹事だとか、はっきり言ってしまえば、どうでもいいような「仕事」を若い人にやらせてみるわけですね。そして、それを任された若い人は、そんな「仕事」をばかにしてはいけないわけです。なぜなら、「合コンの仕切り一つもまともにできない奴が、大きな仕事を仕切れるわけがない」からです。そこに「組織力」構築の最初の一歩があるわけです。

【組織力を宿す】
●人生は、勢いでしか決められない「重大な意思決定」と、熟慮に基づいた「つまらない意思決定」とで彩られている。

●組織には2つの機能がある。1つは、大きな問題をちっぽけな問題にブレイクダウンする機能。もうひとつは、集団で勢いをつける機能。

●高めの目標を掲げるのはナンセンスである。1~2年なら数字なんていくらでも作れてしまう。ただし、そんなことを何年も続けていたら、会社はだめになってしまう。共産圏の計画経済は、これで失敗した。

●客観指標の怖いところは、あまりにもインパクトが強いので、みんなそれをピンポイントで狙ってしまうことです。客観指標と直結する特定業務の成果を上げることばかりに気を取られ、そこだけをピンポイントで狙った行動を必ず誘発する。

●数字には全てが含まれる。流した涙の量、かいた汗の量、履き潰した靴の数、ありとあらゆる数字が入ってくる。楽して稼いだ二百万円と苦労して稼いだ百万円だったら、苦労して稼いだ百万円の方が価値があるんです。

●能率の原則は、事後的に正当化とか合理化するときに使われる手法である。

●正当的周辺参加(legitimate peripheral participation ; LPP)、つまり、学習とは、自分のアイデンティティを形成していく過程であり、自分が「何者かになっていく」という自分づくりである。優れた創業者によって大企業にまで成長した会社では、その創業者が亡くなってしまった後でも、その創業者のテイストが息づいている。重大すぎてとても意思決定できないというようなときに、諸々の合理的な思考の底に眠っていた、テイストが呼び覚まされる。

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内部統制報告制度の運用の見直しについて

11/25に、金融庁企業会計審議会第20回内部統制部会が開催され、内部統制報告制度の運用の見直しについて議論がなされました。

当該部会の議事及び内容について、金融庁HPに記載されています。

金融庁 企業会計審議会第20回内部統制部会議事次第

資料が6個掲示されています。
内部統制に関わる方はご一読しておくことをおすすめします。

1.内部統制報告書の提出状況について(平成21年6月~平成22年9月提出分)
提出数は6,628件。
有効は6,496件で98.0%、重要な欠陥があり有効でないが116件で1.8%、意見不表明が16件で0.2%。

2.訂正報告書提出会社7社(22年6月~9月)の内訳

3.内部統制報告制度の見直しの主な内容(案)
内部統制監査と財務諸表監査の一体的実施」を促す文書を追加して監査を効率化。
中堅・中小企業向けの効率的な内部統制報告実務の「事例集」の作成。
「重要な欠陥」の金額的な重要性の判断基準について、企業の柔軟な判断を促す。
中堅・中小の上場企業に対しては簡素化・明確化。
「重要な欠陥」は「開示すべき重要な不備」に文言変更される可能性が高い。

3~5.新旧対照表(財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準及び実施基準)

6.内部統制報告制度に関する事例集(仮称)

金融庁は、12/10に内部統制部会を開催し、議論を踏まえて基準と実施基準の修正版の草案を公開する予定とのことです。

企業力を高める内部監査/島田祐次(東洋大学)

「月間監査研究」11月号に、第44回内部監査推進全国大会での島田先生の講演要旨が掲載されており、非常にためになったので、備忘録的にメモしておきます。

・企業力を高める内部監査/島田祐次(東洋大学)

【論点1】内部監査の付加価値は業務改善にある
外部監査と似たようなアプローチだけでは余り価値を生まない。
業務上の改善点やリスク・エクスポージャーの軽減などの業務改善が内部監査の狙いである。

【論点2】着眼点によって監査の価値が左右される
監査対象部門と同じ視点だけではなく、様々な視点から業務を見ることで、課題やリスクを発見できる。
表と裏、利点と欠点、重点と弱点など、多面的な視点が必要である。
ERM、経営品質、PDCA、成熟度、BSC、財務会計、管理会計、法的視点、プロセスの視点、人・物・金・情報の視点などが考えられる。

【論点3】文理両方のアプローチが必要である
工学的アプローチが有用と考えられる。
AHP(階層分析法)、DEA(包絡分析法)、ブレイクスルー思考などが使える。

【論点4】内部監査の価値向上サイクルの構築が重要である
外部監査と異なり、内部監査の場合には、先を見据えた監査判断が必要になる。
統合的な監査が重要である。
(価値向上サイクル)
内部監査人のスキルアップ→付加価値の高い監査
   ↑                   ↓
内部監査への関心の増大←→組織内での認知度向上

監査役と内部監査との連携【内部監査協会セミナー】

iiaj今日は、内部監査協会主催の「監査役と内部監査との連携」セミナーに行ってきました。
有料セミナーでしたが、テーマが良かったからか、約200名くらいの受講者が来ていました。

私は、某社では監査役を、某社では内部監査人を務めさせていただいており、両方の立場から興味深くセミナーを受講いたしました。

二部制になっており、一部は監査役協会の常務理事である高橋氏による「監査役監査の役割と業務」という内容でした。
内部監査協会のセミナーに監査役協会の方がいらっしゃるというのは初めてのことだそうです。今後両者の連携が日本企業のコーポレイトガバナンスの向上に資するという期待から両者が歩み寄って今日のセミナーに至ったということです。

受講者である内部監査部門の方々にとっては、監査役監査についてその詳細までは理解が進んでいないというご判断のもとで、こういうテーマにされたのだろうと思います。が、私は、内部監査人たるもの、法令で規定されている監査役監査についての知見等は相当程度あるはずだと思います。ですので、内容的に少しくどい感じだったのではないかと思いました。

内容を簡単にまとめると、

・監査役監査は会社法に規定されている法定監査で、取締役の職務執行を監査し、多数決ではなく独人制が特徴
・内部監査は法に定められておらず会社が自ら行うもので、従業員の業務執行と内部統制システムの評価を行い、組織的監査となっているところが多い
・両者の連携については、まずは被監査部門の負担軽減の観点から重複回避を主とし、網羅的・詳細な監査は内部監査が行い、監査役監査はリスクアプローチにより重点監査を行う

でした。

第二部は、内部監査協会の別府氏による「内部監査部門と監査役会の連携推進」でした。別府氏は伊藤忠さんで監査部長、常勤監査役をご経験された方で、両者の視点を使い分けて講義を進められました。ウィットに富んだ語り口で、会場の空気をつかんでいらっしゃいました。

内容を簡単にまとめると、

・両者は会社の健全な持続的発展を目指して経営を監視するという共通の役割を有する
・日本型ガバナンスに対する(主に海外投資家からの)懸念である、経営監視体制が脆弱であること、に対して、トップを牽制する機関としての監査役会の立ち位置を明確にし、内部監査部門は社長と監査役会の両者に役立つ監査を目指す
・両者の連携は、金融庁・東証からも求められている(コーポレート・ガバナンス報告書に記載)
・監査役会は、内部監査が動きやすい環境を作り、その監査結果を活用する
・連携の方針を社内外に公表していく(ガバナンス模式図では監査役会と内部監査部門を線で結び「連携」と表記する)
・監査役会には「スタッフ不足」「情報が少ない」「体系的監査ができない」といった弱点が、内部監査には「トップ情報を入手できない」「影響力が弱い」といった弱点があり、相互にこれを補完する連携が求められる

でした。

先に一部が少しくどかったと書きましたが、おさらい的に一部があったおかげで、二部のストーリーが頭に入りやすかったことは事実であり、何より、監査役協会の方がいらっしゃったという事実が、これから両者の連携が重要であるというメッセージ的に非常に重要だったと思います。

特に目新しい発見はありませんでしたが、自分の役割について改めて考えさせられるテーマでしたので、受講してよかったと思います。

最後に別府氏が語った面白いエピソードを。
仲の良い部長さんが取締役に昇格されたので、「これから何を取り締まっていきますか?」とお聞きしたところ、「これまで以上に部下を監督し取り締まっていきますよ」と真顔で答えられたとのこと。伊藤忠ですらこれですから、取締役は他の取締役の行為を監督する、なんていうことをわかってる取締役なんて、実際にはほとんどいないんですよw。

内部監査人になりました

Internal Audit

6/1より、某事業会社の内部監査人になりました。

これに伴い、2001年の事業開始からモブキャスト社C.F.O.であった約4年を間に挟んで10年間営業してきた「IPO & IR SUPPORT」を廃業(無期限休業)いたします。これまでクライアントになっていただいた多数の会社様にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

内部監査人になったことで、監査法人勤務時代の会計監査人監査(財務諸表監査)、現在も務めさせていただいている事業会社様の監査役監査、そして内部監査の、いわゆる三様監査(さんようかんさ)の全てを経験することになりました。それぞれ趣旨や目的が異なりながらも、緊密に連携しながら、会社の継続的な成長・発展に資するために行う監査の全てを経験できるということは自身のキャリア形成に有用であると思っています。

業務特性上、踏み込んだ仕事の内容については、これまでと同じくブログで書くわけにはいけませんが、一般論的な監査についての私なりの考えなどは、今後、頻度は少ないでしょうが書いてみたいと思っています。

また、IPOとIRのコンサルティング事業は廃業いたしますが、IPOやIRに関する事柄については、依然として私の興味の範囲内であることから、これからも市場をウォッチしながら興味のある事案についてはエントリをあげていきたいと思っています。

ブログのサブタイトルですが、これに伴い、「町田でIPO等の実務支援を行う上場仕事人のブログ」から「神奈川の会社ではたらく監査人のブログ」と変更させていただきます。監査役もやっているので「監査役兼内部監査人のブログ」にしようかとも思ったのですが、これだと同じ会社で監査役と内部監査とを兼務(法律上こんなことはありえません!)しているようなニュアンスになってしまうので却下しました。もちろん監査役の仕事も内部監査の仕事もちゃんと両方しっかりと頑張ります。

なお、ブログの更新頻度(Twitterでのつぶやきも含む)は大幅に減少すると思います。会社のPCにフィルタリングがかかっているので日中はフィードも読めませんし、Gmailも見られません。お昼休みにiPhoneからメールチェックするくらいが限界です。インプットが減少するのでますますアウトプットも減少すると思います。せっかくクラウドに入れたデータも会社からは一切見られないですし、反対に会社で扱っているデータ(メールも!)も自宅やモバイルでは見られません。メールはメーラー(OE)での受信限定でウェブから見ることもできません。この辺はおいおいシステムを巻き込んで、もっと効率的な働き方をITが支援するという方向に持っていきたいと密かに野望を持っています。

末筆になりましたが、これまでお世話になった皆様、失礼ながら個別にメールをお送りしたりはせず、このエントリでご挨拶に代えさせていただきます。

今後ともよろしくお願いいたします。

どうにもこうにも出来すぎている気がする

今度は三洋電機に粉飾決算疑惑だと。

経営再建中の三洋電機が04年3月期の単体決算で粉飾決算を行っていた疑いが23日浮上したが、当時の監査担当は旧中央青山監査法人(現みすず監査法人)だった。みすずは日興コーディアルグループ虚偽記載問題で事実上の解体が決まっている。相次ぐ不正経理発覚で、市場では「また旧中央青山か」との声が上がっている。毎日新聞

カネボウでの社員逮捕から始まり、(ライブドアマーケティングはまあ小さいけど一応)、日興コーディアルときて、今度は三洋電機。偶然とは思えない。某かの力が中央青山潰しに動いたとしか思えない私は、勘ぐりすぎなのでしょうか?

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