独立取締役選任基準モデル

   

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商事法務で知ったのですが、日本取締役協会が、2011年5月23日付けで、「取締役会規則における独立取締役の選任基準【モデル】」を発表しておりました。

取締役会規則における独立取締役の選任基準モデルを発表―社外取締役の選任手続きについても提案― - 日本取締役協会

御承知の通り、独立取締役(及び独立監査役を含めて独立役員と呼びます)とは、2009年12月に東証が有価証券上場規程等の改正によって、上場会社に義務付けられた独立役員の一形態でありまして、東証においてもガイドライン等で選任基準が設けられておりました。しかしながら、東証の定める基準は、上場企業全てを対象とするという性質ゆえに、必ずしも明確なものではありませんでした。そこで、今回、取締役協会が「独立取締役」としてふさわしい取締役を選任するために必要と考えられる要件を、諸外国の例なども参考にしながら取りまとめたという内容です。

これに加筆修正して、基準として規程に盛り込むことが出来るので、重宝しそうです。また、これまで議論のあった、アドバイザーの金額基準とか、メインバンクの考え方とか、独立役員の持ち合いとか、在任期間とか、果たしてこれがベストシナリオかどうかはわかりませんが、一つの参考情報にはなると思いました。独立監査役にも流用できそうです。

以下、要点を抜粋しておきます。

<趣旨>
上場会社が、取締役会規則等によって、「独立取締役」又は「独立監査役」を選任する際の基準を制定する際に参考となるような目安であり、「独立性」を有すると評価し得るために最低限の要件ないし必要条件を示すものではない。
各企業が制定した独立取締役選任基準が、それら企業のHP等において公表されることを念頭に置いて、法令に準じた厳密なワーディングよりも、できる限り一般の株主や投資家にも理解しやすい表現を用いることを心がけた。
本モデルが提示した各主要素のほか、企業の持続的かつ中長期的な成長の観点や、取締役会のモニタリング機能を強化する観点から、独立性の問題とは直接関係しないものの、再任回数、報酬水準、過去の経歴、専門性、当該企業の営む事業についての識見、顧客視点、CSR、年齢、国籍等、性別、兼任状況、等々の多様な要素を考慮することが考えられる。

□選任基準
1.自社関連
・当社の業務執行取締役又は執行役員、支配人その他の使用人であってはならず、かつ、過去に一度でも当社の業務執行取締役又は執行役員、支配人その他の使用人であった者であってはならない

2.子会社関連
・当社の現在の子会社の業務執行取締役又は執行役員、支配人その他の使用人であってはならず、かつ、過去に一度でも当社の現在の子会社の業務執行取締役又は執行役員、支配人その他の使用人であった者であってはならない

3.株主・親会社関連
・以下のいずれかに該当する者であってはならない。
① 当社の現在の親会社の取締役、監査役、会計参与、執行役員又は支配人その他の使用人
② 最近5年間において当社の現在の親会社の取締役、監査役、会計参与、執行役員又は支配人、その他の使用人であった者
③ 当社の現在の主要株主(議決権所有割合10%以上の株主をいう。以下同じ。)の取締役、監査役、会計参与、執行役員又は支配人その他の使用人
④ 最近5年間において当社の現在の主要株主の取締役、監査役、会計参与、執行役員又は支配人その他の使用人であった者
⑤ 当社が現在主要株主である会社の取締役、監査役、会計参与、執行役員又は支配人その他の使用人

4.兄弟会社関連
・以下のいずれかに該当する者であってはならない。
① 当社の現在の兄弟会社の取締役、監査役、会計参与、執行役員又は支配人その他の使用人
② 最近5年間において当社の現在の兄弟会社の取締役、監査役、会計参与、執行役員又は支配人その他の使用人であった者

5.取引先関連
・以下のいずれかに該当する者であってはならない。
① 当社又はその子会社を主要な取引先とする者(その直近事業年度における年間連結総売上高の2%以上の支払いを、当社又はその子会社から受けた者。以下同じ。)、又はその者が会社である場合における当該会社の業務執行取締役、執行役員若しくは支配人その他の使用人
② 最近3年間において、当社又はその子会社を主要な取引先としていた者(その直近事業年度における年間連結総売上高の2%以上の支払いを、当社又はその子会社から受けていた者。以下同じ。)、又はその者が会社である場合における当該会社の業務執行取締役、執行役員若しくは支配人その他の使用人
③ 当社の主要な取引先である者(当社が、その直近事業年度における年間連結総売上高の2%以上の支払いを行っている者。以下同じ。)又はその者が会社である場合における当該会社の業務執行取締役、執行役員若しくは支配人その他の使用人
④ 最近3年間において、当社の主要な取引先であった者(当社が、その直近事業年度における年間連結総売上高の2%以上の支払いを行っていた者。以下同じ。)又はその者が会社である場合における当該会社の業務執行取締役、執行役員若しくは支配人その他の使用人
⑤ 当社又はその子会社から一定額(過去3年間の平均で年間1,000万円又は当該組織の年間総費用の30%のいずれか大きい額)を超える寄付又は助成を受けている組織(例えば、公益財団法人、公益社団法人、非営利法人等)の理事(業務執行に当たる者に限る。)その他の業務執行者(当該組織の業務を執行する役員、社員又は使用人をいう。以下同じ。)

6.持ち合い
・当社又はその子会社から取締役(常勤・非常勤を問わない)を受け入れている会社又はその子会社の取締役、監査役、会計参与又は執行役員であってはならない。

7.メインバンク関連
・以下のいずれかに該当する者であってはならない。
① 当社の資金調達において必要不可欠であり、代替性がない程度に依存している金融機関その他の大口債権者(以下「大口債権者等」という。)の取締役、監査役、会計参与、執行役員又は支配人その他の使用人
② 最近3年間において当社の現在の大口債権者等の取締役、監査役、会計参与、執行役員又は支配人その他の使用人であった者

8.アドバイザー関連
・以下のいずれかに該当する者であってはならない。
① 現在当社又はその子会社の会計監査人又は会計参与である公認会計士(若しくは税理士)又は監査法人(若しくは税理士法人)の社員、パートナー又は従業員である者
② 最近3年間において、当社又はその子会社の会計監査人又は会計参与であった公認会計士(若しくは税理士)又は監査法人(若しくは税理士法人)の社員、パートナー又は従業員であって当社又はその子会社の監査業務を実際に担当(但し、補助的関与は除く。)していた者(現在退職又は退所している者を含む。)
③ 上記①又は②に該当しない弁護士、公認会計士又は税理士その他のコンサルタントであって、役員報酬以外に、当社又はその子会社から、過去3 年間の平均で年間1,000 万円以上の金銭その他の財 産上の利益を得ている者
④ 上記①又は②に該当しない法律事務所、監査法人、税理士法人又はコンサルティング・ファームその他の専門的アドバイザリー・ファームであって、当社又はその子会社を主要な取引先とするファーム(過去3年間の平均で、その総売上高の2%以上の支払いを当社又はその子会社から受けたファーム。以下同じ。)の社員、パートナー、アソシエイト又は従業員である者

9.近親者関連
・以下のいずれかに該当する者であってはならない。
① 当社又はその子会社の業務執行取締役又は執行役員の二親等内の親族又は同居の親族
② 最近5 年間において当社又はその子会社の業務執行取締役又は執行役員であった者の二親等内の親族又は同居の親族
③ 当社の現在の親会社の取締役、監査役、会計参与又は執行役員の二親等内の親族又は同居の親族
④ 最近5 年間において当社の現在の親会社の取締役、監査役、会計参与又は執行役員であった者の二親等内の親族又は同居の親族
⑤ 当社の現在の主要株主の取締役、監査役、会計参与又は執行役員の二親等内の親族又は同居の親族
⑥ 最近5 年間において当社の現在の主要株主の取締役、監査役、会計参与又は執行役員であった者の二親等内の親族又は同居の親族
⑦ 当社が現在主要株主である会社の取締役、監査役、会計参与又は執行役員の二親等内の親族又は同居の親族
⑧ 当社の現在の兄弟会社の取締役、監査役、会計参与又は執行役員の二親等内の親族又は同居の親族
⑨ 最近5 年間において当社の現在の兄弟会社の取締役、監査役、会計参与又は執行役員であった者の二親等内の親族又は同居の親族
⑩ 当社若しくはその子会社を主要な取引先とする者(個人)の二親等内の親族若しくは同居の親族、又は当社若しくはその子会社を主要な取引先とする会社の業務執行取締役若しくは執行役員の二親等内の親族若しくは同居の親族
⑪ 最近3 年間において、当社若しくはその子会社を主要な取引先としていた者(個人)の二親等内の親族若しくは同居の親族、又は当社若しくはその子会社を主要な取引先としていた会社の業務執行取締役若しくは執行役員の二親等内の親族若しくは同居の親族
⑫ 当社の主要な取引先(個人)の二親等内の親族若しくは同居の親族、又は当社の主要な取引先である会社の業務執行取締役若しくは執行役員の二親等内の親族若しくは同居の親族
⑬ 最近3年間において、当社の主要な取引先であった者(個人)の二親等内の親族若しくは同居の親族、又は当社の主要な取引先であった会社の業務執行取締役若しくは執行役員の二親等内の親族若しくは同居の親族
⑭ 当社又はその子会社から一定額(過去3年間の平均で年間1,000 万円又は当該組織の年間総費用の30%のいずれか大きい額)を超える寄付又は助成を受けている組織(例えば、公益財団法人、公益社団法人、非営利法人等)の理事(業務執行に当たる者に限る。)その他の業務執行者の二親等内の親族又は同居の親族
⑮ 当社の現在の大口債権者等の取締役、監査役、会計参与又は執行役員の二親等内の親族又は同居の親族
⑯ 最近3年間において当社の現在の大口債権者等の取締役、監査役、会計参与又は執行役員であった者の二親等内の親族又は同居の親族
⑰ その二親等内の親族又は同居の親族が、当社又はその子会社の会計監査人又は会計参与である公認会計士(若しくは税理士)又は監査法人(若しくは税理士法人)の社員又はパートナーである者に該当する者
⑱ その二親等内の親族又は同居の親族が、当社又はその子会社の会計監査人又は会計参与である公認会計士(若しくは税理士)又は監査法人(若しくは税理士法人)の従業員であって、当社又はその子会社の監査業務を現在実際に担当(但し、補助的関与は除く。)している者に該当する者
⑲ その二親等内の親族又は同居の親族が、最近3年間において、当社又はその子会社の会計監査人又は会計参与である公認会計士(若しくは税理士)又は監査法人(若しくは税理士法人)の社員若しくはパートナー又は従業員であって、当該期間において、当社又はその子会社の監査業務を実際に担当(但し、補助的関与は除く。)していた者に該当する者
⑳ その二親等内の親族又は同居の親族が、上記8の①又は②に該当しない弁護士、公認会計士又は税理士その他のコンサルタントであって、役員報酬以外に、当社又はその子会社から、過去3年間の平均で年間1,000 万円以上の金銭その 他の財産上の利益を得ている者に該当する者、又は、上記8の①又は②に該当しない法律事務所、監査法人、税理士法人又はコンサルティング・ファームその他の専門的アドバイザリー・ファームであって、当社又はその子会社を主要な取引先とするファームの社員又はパートナーに該当する者

10.その他
・当社の一般株主全体との間で上記で考慮されている事由以外の事情で恒常的に実質的な利益相反が生じるおそれのない人物であること

10.セーフハーバー
・仮に上記に該当する者であっても、当該人物の人格、識見等に照らし、当社の独立取締役としてふさわしいと当社が考える者については、当社は、当該人物が当社の独立取締役としてふさわしいと考える理由を、対外的に説明することを条件に、当該人物を当社の独立取締役とすることができる

11.再任関連
・現在独立取締役の地位にある者が、独立取締役として再任されるためには、通算の在任期間が8年間を超えないことを要する

□選任手続き
・以下のいずれかの手続を経ることが推奨される。
① 社外の委員が過半数を占める指名委員会、諮問委員会又は独立取締役推薦委員会、その他の委員会の推薦又は同意を得ること
② (上記の委員会が存在しない場合には)少なくとも独立取締役又は独立監査役1名の推薦又は同意を得ること

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